明治期の新潟湊で活躍した廻船問屋の引札

トップページ>>特集・資料>>File.2

新潟湊 廻船問屋の引札各種


    

引札とは、またその時代背景
引札とは、商店などが開店披露や年末年始などに配った広告チラシのことです。
その始まりは江戸時代中頃と言われていますが、最も盛んに発行されるようになったのは明治時代です。
図柄は、めでたい図柄や縁起物、華やかな錦絵、文明開化や西洋文化を象徴するハイカラ物、動物を擬人化したものなど多種多彩です。
新潟の廻船問屋の引札は、宝船などの縁起物はもちろん、地元ならではの図柄が多く取り入れられました。
湊の風景(灯台や運上所など新潟らしい)、湊の水深などを表示した旗信号の凡例などにご注目ください。
当時はカラフルな印刷物など珍しく、引札を貰った人々は大変喜んで家の壁などに貼ったといわれています。 また、渡す商店側も暦などを刷り込んで、貼り続けてもらう工夫をしていました。

これら廻船問屋の引札は、主に明治中期のものです。
江戸時代から、廻船問屋は湊に出入りする廻船が積み下ろしする貨物を売買する権利を持っており、商人の中でも別格の存在でした。
明治三年に廻船問屋の株仲間制度が廃止され、営業が自由化されると新規参入者が増え、明治十三年には110軒ほどの廻船問屋があったといわれています。
そのような競争激化の様相や、印刷技術の一般化によるカラフルな印刷物の普及など、これら明治中期の賑やかな引札には様々な時代背景が影響していると考えられます。

      

国内で唯一の航行可能な復元北前船「みちのく丸」が、2011年8月16日(火)から18日(木)の3日間、新潟港にやってきました。
期間中は展帆航行の見学や講演会、まちあるきツアーなどが企画され、かってない北前船の文化歴史の評価が盛り上がりました。こちらの引札はその記念企画展として“北前船の時代館 旧小澤家住宅”に展示されたものです。


「北前船の時代館 新潟市文化財 旧小澤家住宅」のホームページ